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デジタルトランスフォーメーション(DX)と価値の創造

先日、次のようなタイトルでセミナーを行いました。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「2025年の崖」というキーワードに対しては、多くの企業でも注目されています。
関心をお持ちの方・企業様が多く、 今回のセミナーも満席になるほどでした。

その反面、「言葉だけは聞いたことがある」、「知っている」という方がほとんどであって、昨年から経済産業省が掲げているにも関わらず、理解がなされておらず、そのため、手を付けようにも「どう手を付けていいのか分からない」というのが現状です。


いま考えるデジタルトランスフォーメーションの新潮流
~イノベーションを生み出し“確実に”企業価値を高める方法~


セミナー内容についてはこの後で簡単に記しますが、改めて、多くの人の考え方・思考における課題についても再認識することもできました。
今回は、その課題について取り上げたいと思います。

セミナーでは、”DX”というものの定義の理解から、企業でのDXへの取り組みを最大化するための考え方・進め方について、お話をさせていただきました。
1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
2.DXの現状と課題
3.社内システム・IT活用の方向性は?
4.DXの価値を最大化する
5.まず取り組むべきこと

デジタルトランスフォーメーションの定義は、次のとおりで非常に分かりづらい文章で、私のような専門家が読んでも一度では理解できないくらいです。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 – DXエコノミーにおいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ, IDC Japan プレスリリース, 2017年12月14日

IDCで定義された内容なのですが、現在では、経産省のガイドラインでもこのIDCの定義を引用して使用されています。

ようは、 「IT技術を使って競争力を高めましょう」 というのが定義として記されています。
「ITを利用した企業価値の向上」とも言うことができます。

実は、”DXに取り組み企業価値を向上させる”ことは、まさにVEを使って企業価値を最大化させることと本質的には同じこととも言えます。
ただし、VEは、その活動のみならず、VEの思考そのものが、様々な場面 (あらゆるモノコト) に活用できる点が大きく異なります。

「デジタルトランスフォーメーション」、「DX」とあたかも新しいキーワードとして取り上げられていますが、 新しい技術も進歩してきているので、 企業内のIT化(デジタル化)を進めて、効率化したり、場合によっては新しいビジネスモデルも生み出せるかもね、ということでしかありません。

2018年に経産省が「2025年の崖」という不安をあおるようなキーワードとともに「デジタルトランスフォーメーション」についてレポートを発表したわけですが、2025年の崖で危惧されていることも、ずっと前から多くの人が気付いていることです。

似たような取り組みとして「インダストリー4.0」というキーワードが数年前に日本でも注目されました。
一部の製造業で取り組みがなされましたが、”第四次産業革命”などとも言われた世界までには至っていません。
そして、今の日本では、ほとんど聞かれない程度になってしまいました。

ちなみに、「インダストリー4.0」に関しては、ヨーロッパでは当たり前に浸透していて、大きくビジネスに取り入れて企業改革がなされたり、新しいビジネスモデルも創出されています。
日本と欧米では、企業でのシステムの導入の方針や戦略も異なるため、欧米と同様に推進することが難しいという背景はあります。

しかしながら、個人的には、「デジタルトランスフォーメーション」についても、一過性のバズワードで終わってしまいそうな気がしています。

日本の企業のシステムは、拡張をしたり、新しく入れ替えることも、かなり難易度の高い状況にあることが障害になっています。
その原因は色々な点が挙げられるのですが、どの点も障壁が高く、企業側も、やりたいけれどやれない、というジレンマが何年も続いているのが現状です。

そこで、セミナーでは、「デジタルトランスフォーメーション」だけにとらわれず、企業でのIT活用の方向性をどう考えるべきか、そもそもの目的である企業価値を高めるための取り組みにはどのような思考が必要か、という点について解説を致しました。

「デジタルトランスフォーメーション」、「2025年の崖」、「インダストリー4.0」などなどのカタチにとらわれるのではなく、そもそも”なんのため?”なのか、といった思考が原点になります。

まさにそれがVEの思考でもあります。
カタチを導入するのではなく、”導入するのはなんのため?”という思考であるべきはずなのです。

セミナーで感じた課題というのも、カタチにとらわれている方が少なくないことが分かったことにあります。

今回のセミナーでは、概念や考え方といった内容が大部分でした。
このため、事例が知りたい・他社の取り組みが知りたいという方にとっては、満足度は低かったかと思います。

しかしながら、企業ごとに環境は異なり、それぞれの企業が目指すべき方向性も異なっているはずです。
すると、そこで必要となるDXの取り組み方も、異なります。

それであっても、事例というカタチにとらわれてしまっている思考・考え方というものに課題を感じたのです。

もう数十年とコンサルタントをしていますが、昔も今も、事例・ベストプラクティスを求める思考は変わりがなく、自分たちに必要なカタチを作り上げる思考になかなか変わっていかないものだなぁと感じました。

以前にも、「マイプラクティスを創り上げませんか」という記事を書きました。
この考え方においては、他社の事例や取り組みなどの情報は全く必要がなく、自社がなんのためにどういう方向に向かっているのかのみが重要であることを述べました。

DXへの取り組みについても同様で、「マイプラクティス」を創り上げましょうというのが私の考え方になります。

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