働き方改革は進んでいるのか?
今もCOVID-19感染の脅威は収束の様子を見せず、先行きの不透明な日々が続いていますね。
出社禁止となり自宅待機・在宅勤務の方も多いと聞きます。
また、自社社員のみの出退勤のみに制限、社外の人の来訪を禁止などといった措置を取っている企業もあると聞きます。
私自身のお客様や近しい企業でも同様の対応を取っているところがあります。
しかしながら、それ以上に通常通りに業務をしている企業も多く目にするのです。
メディアを見ていると、多くの企業がテレワークに切り替えていて、在宅勤務の方が増えているように聞こえます。
確かに街に出ている人の数は減っています。
昼間の渋谷の街も、感覚的には半分程度の減り具合でしょうか。
しかし、これは働き方改革やテレワークが増えていることは大きな要因ではないのでは?というのが私の考えです。
業務の進め方が変わってきたわけではなく、自宅待機の人が増えただけの可能性もあると考えています。
「在宅勤務」と言われていても、単なる「自宅待機」状態なのではないでしょうか。
出社しているのと同じように自宅で業務をできている人がどれだけいるのでしょうか。
数年前から「働き方改革」、「デジタルトランスフォーメーション」の必要性が訴求されていながら、日本のほとんどの企業では十分な対応をできていませんでした。
実際に、昨年に「デジタルトランスフォーメーション」をテーマにしたセミナーの講師をした際、受講者の方の中で取り組んでいる企業はほぼ存在しませんでした。
経済産業省が掲げているほどの言葉にもかかわらず、「デジタルトランスフォーメーション」という言葉さえ知らない方も多かったのです。
また、外部からPCで企業内のネットワークにつなぐことができる環境を作るには、初期費用も維持費用も高価なことから、「働き方改革」に取り組んではいても、テレワークができる環境まで整備できる企業は、少なかったのです。
今回のCOVID-19のタイミングで、在宅勤務できるような環境を、急に導入・教育できると思えないのです。
先日、SAVE(アメリカVE国際協会)で会長がファシリテーターになり、世界各国から50名ほどで、オンラインミーティング(Virtual Chat with SAVE President)が開かれました。
世界中でCOVID対策のために、外出自粛の措置が取られていますが、そのような中で各国のVE/VMコンサルタントがどのように活動をしているのかがテーマの一つになっていました。
予想外だったのは、アメリカ・ヨーロッパでもオンラインでのVE/VMプロジェクトは、多くのコンサルタントも試行錯誤で実践している、もしくは挑戦しようとしている状況であったことです。
ある人からは、VEコンサルタントは高齢な人が多いことからなかなかIT技術を使いこなすことのハードルが高いのでは、というコメントもありましたが。
先日の投稿でも書きましたが、私はすでにオンラインでのVEプロジェクト(VVE)を試みています。
すでにリアルと同様なVVEを実施する環境については、CHIKARIZE方式としては固まっています。
しかし、さらにより良い環境・ファシリテーションスキルを研究してもいます。
今の方式で全く困らないのですが、IT分野が専門なことと、元々個人的にガジェット好きなことから、新しい機器やソフトウェアを見つけては試したくなってしまうのです。
これらのIT環境やファシリテーションスキルは、VEプロジェクトだけではなくて、通常のオンラインミーティングでも同じように活用できます。
アメリカやヨーロッパは日本とは違い、リモートで業務・協業する環境は整っていて、慣れているものかと考えていました。
しかし、どうやらそれほどでもないようです。
日本でも同様で、いや、それ以上に環境も整っておらず、不慣れな方が多いのが現状です。
とある大企業では、Skypeを全社導入するも、ほとんどの人が使いこなせず、使われていなかったと聞くくらいです。
COVID-19が収束したとしても、ちょっとしたオンライン会議を行うくらいまでの浸透に留まるのではないかというのが私の考えです。
仕事の進め方が変わったなぁと皆が実感できるようになるには、数年とは言わず5年くらいの時間が必要なのではないでしょうか。
現状でさえ活用し切れていないこと、活用はごく一部なため不慣れなままの人が存在するであろうこと、今回の経済損失の影響から投資能力・意欲はしばらくは復活しないと考えられることからです。
どんなIT投資についても言えることですが、みんな導入しているから、流行っているみたいだし乗り遅れたくない、といって投資判断をするのではなく、このような社会環境に踊らされず、「なんのため?」とその目的・機能を冷静に考えていただきたいと思います。
交通機関も街中も混雑していないのはとても好ましい環境だなぁと思いつつも、ウィルスによる外出自粛が理由というのは残念なことです。
早く安心して外出できるようになることを祈っています。